去る2月4日、昨秋から「数珠釣り体験」「焼き干しづくり体験」と続いてきた一連のプログラムの締めくくりとなる「ハゼ出汁でつくる仙台雑煮」を開催しました。会場となった山王地区公民館(多賀城市)に集まった18人の参加者(スタッフ含む)は、「数珠釣り体験」「焼き干しづくり体験」の成果である「焼きハゼ」を使って、お雑煮づくりに挑戦しました。
この日の講師は「みやぎの食を伝える会」の中村みき子先生です。中村先生は、焼きハゼをダシに使ういわゆる「仙台雑煮」のほか、宮城の郷土料理のひとつ「サンマのきがき」の作り方を教えてくれました。
参加者は4つのグループに分かれ、子どもも大人もみんなで協力して2品の料理を完成させました。参加者一同、ハゼだしが上品に香るお雑煮と、優しい味わいの「きがき」を堪能しながら、地域の食文化に理解を深めたようでした。
土地の食文化が家庭内で受け継がれていく機会を設けることが、プログラム「松島湾とハゼ」の大きな目的の一つです。その意味で、親子連れでの参加が目立った今回のお雑煮づくり体験は、主催者としても大変価値のあるものになりました。
昨年11月の「数珠釣り」「焼き干しづくり」で完成した焼きハゼ。
中村先生の講話。
宮城は四季折々の食材に恵まれているので、あまり手を加えずに素材の持ち味を生かす食文化が培われてきたそうです。
仙台雑煮の特徴のひとつである「ひきな」を作ります。ダイコン、ニンジン、ゴボウを千切りに。
焼き干しづくりにも参加した一家。弟くんは初めて包丁を使います。
この日の最年少は3歳、外科医風。
「カメラマンのおっちゃん、それ以上近づくとこのダイコンみたいになるよ」
ダイコンとニンジンとゴボウをさっと湯がくと「ひきな」ができあがります。
彼はこの日、このハゼをダシに使うことに決めた。
15分くらいコトコト煮ると、いいダシが出ます。お雑煮1杯にハゼ1匹くらいで贅沢に使うのがポイント。
娘「母ちゃん、お腹すいた」
母「丁寧に料理して、味わって食べようね」
この日の二品め、「サンマのきがき」。鍋に千切りのダイコンをしいてサンマをのせ、蓋をして煮込みます。
お椀に「ひきな」や焼き餅、セリなどを盛りつけ、熱い汁を注ぎます。
最後にイクラをトッピングして完成。板かまは誰かがつまみ食いしたわけではありません。
ハゼはほぐして背骨をとって食べましょう。
せっかくのハゼを最後まで味わうためなら、手だって使いましょう。